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蛍光灯を直流で光らせてみる

世の中の蛍光灯は交流で光っている

世の中の蛍光灯は、たぶん殆ど全て交流(AC)で駆動されています。自動車用の蛍光灯や携帯型蛍光ランプでも、バッテリや乾電池で働いているので直流で光っているように見えますが、それら器具の内部にはインバーター回路があり、それにより、蛍光灯(蛍光管)そのものは交流で光っているのです。

 

蛍光灯の仕組みと原理

蛍光灯は電球(白熱球)とは全く異なるメカニズムで光っています。密閉気体中の放電現象(グロー放電)を用いた放電管の一種です。ここで下手な解説をするより、ネット上に分かり易い解説がたくさんあります。

下記は蛍光灯の仕組み(基本)を分り易くアニメーションで説明されています。

もうちょと詳しくは。

更にご興味あらば「蛍光灯 仕組み」や「蛍光灯 原理」等で検索してみてください。

 

純粋な直流電源で蛍光灯を光らせたくなりました

世の中の蛍光灯が、なぜ交流点灯かというと、電灯線が元々交流であるということや、コイルやコンデンサのリアクタンスを有効に活用して簡単に電流を安定化できたり、インバーターの交流出力(昇圧トランスの出力)をそのまま接続したらいいだけだし、また、それ以外の理由も色々あるのかも知れませんが、でも、蛍光管(つまり放電管)に、無理やりにでも直流を印加して光らない理由はないと思います。で、なんとなく、純粋な直流(DC)電源で蛍光灯を光らせたくなったのです。ちなみに、蛍光灯を直流で点灯するメリットは、完全な連続発光、つまり、ちらつきが全く無いというぐらいですが、今時のインバーター式蛍光灯は人間が感じるちらつきはないですし、結局は直流で蛍光灯を光らせるメリットは何もありません。たんなる興味本位の実験です。

 

蛍光灯(蛍光管)を直流で光らせる実験回路

蛍光灯を含めて、いわゆる放電管は、放電を開始させるに、放電継続中の電圧よりもずっと大きな電圧(放電開始電圧)をを印加する必要があります。一般的な蛍光灯器具ではインダクタンスの逆起電力等による一瞬発生する高電圧を用いて放電を開始させています。でも、今回の実験はもっと素朴なところからやってみたいので、3KVまで出力できるDC安定化電源器で、徐々に印加電圧を上げて行き、放電を開始させる電圧を確かめます。

 

実験接続図

上図のように陰極(カソード)にのみヒータ電圧Vaを印加する。

そして、ゆっくりと陽極(アノード)電圧Vbを大きくしていく。

ちなみに、蛍光管は本来交流駆動なので陰極も陽極もないが、今回は便宜的に陽極、陰極としている。

 

電源器

左がヒーター(フィラメント)電圧Va生成に使ったDC安定化電源器(KENWOOD PS36-10)

右が蛍光管陽極電圧Vb生成に使ったDC安定化電源器(0~3KV、max200mA)

 

電流制限用の水を利用した自作抵抗器

ACならコイルやコンデンサのリアクタンスを利用できるのだが、DCだと抵抗による電流制限となる。放電を開始すると、とたんに電流が増大するので、数十KΩ程度の大きな電力容量の抵抗器が必要。でも、そんなの手持ちが無いので、自作水抵抗器を用いた。自作といっても、適当なガラス瓶に水を入れ1対の電極を挿入しただけのもの。電極を上下させる(水に浸かっている長さを変える)ことにより抵抗値を可変できる。おおよそ10KΩ程度した。

 

今回光らせる蛍光管

手持ちの電球型蛍光灯を分解して取り出した蛍光管部分を用いる(インバータ回路を取り除く)。

オーム電機製(電球色)EFSP-13ES(13W)、右写真が取り出した蛍光管。

ダイソーの税込105円の蛍光灯(昼光色)KTL-60N(12W)、右写真が取り出した蛍光管。

 

いよいよ実験開始

まずはオーム電機の電球色の蛍光管から。

ヒーター(フィラメント)電圧Vaを10V印加すると0.46A流れ、ほのかに発光する(ヒータ電力4.6W)。

そして陽極電圧Vbを徐々に徐々に大きくして行く。

どんどん大きくして行く。1KVを超えても光らないし、電流も流れない。もっと大きくして行く。

1.8KVで、突然、光だし大きな電流が流れた。流れすぎると怖いので電源器で100mAの電流制限を設定した。

電流が流れ出すと水式抵抗器からブクブク泡が出だした。水の電気分解が始まったのだろう。

化学実験の様相を呈してきて何だか面白い。

ダイソーの蛍光管も同様に点灯。オーム電機の蛍光灯とまあほぼ同じような感じでした。

 

大雑把な実験結果

ということで、直流でも蛍光灯(蛍光管)はちゃんと点灯しました。

  • 点灯つまり放電が開始する電圧は概ね1.5KV~2KV程度で、同じサンプルでも大きなバラつきがある。
  • 蛍光管が温まっていると比較的低い電圧で放電開始する。
  • 放電が始まると急激に電流が流れる(インピーダンスが急激に低下する)。
  • 放電持続電圧は110V~150V程度である。
  • 一度放電を開始するとヒーターに通電しなくても放電を維持する。
  • ヒータ無通電でも陽極電圧を更に大きくして行くと3KV程度で放電を開始する。

 

ちょっと面白現象発見その1・電子ライタのパチッでも光りだす

比較的低い陽極電圧(数百V)であっても、蛍光管の直ぐ近くで電子ライター(使い捨て100円ライター)をパチパチすると光り出す。

 

ちょっと面白現象発見その2・ヒーター(フィラメント)加熱だけでも発光した

次にちょと面白いことは、陽極電圧など一切与えなくても、ヒーター(フィラメント)電圧Vaをどんどん大きくして行くと、そのヒーターの周辺部が蛍光発光する。放出する熱電子が、ある臨界点を超えると発光するのだろうか?メカニズムは不明。

 

 

ちょっと面白現象発見その3・負性抵抗特性

陽極電源を電流制御モードにして電流を増減して蛍光灯の放電電圧(放電中の電極間電圧)を測定してみた。すると、面白いことに、オームの法則に真っ向から反した結果となる。これが、学生時代に、放電工学か何かの授業で学んだ「放電管の負性抵抗特性」なんだろうと思う。蛍光灯も、れっきとした放電管だもんね。

 

 

蛇足

今回使用した水式抵抗器。

実験後に見たら、電極はボロボロ、水はニョロニョロ、お湯になっていた。

最大で数百Wの電力を消費させてのだから、お湯になるのはあたりまえか。

 

 

おまけ実験・電球型蛍光灯をそのまま直流で光らせてみる

上の実験では電球型蛍光灯から取り出した蛍光管に直流を印加する実験だったが、電球型蛍光灯(つまり内部のインバーター)に直流電圧を印加して光らせてみる。

 

DC安定化電源器にダイソーの電球型蛍光灯を接続して徐々に電圧を上げていく。

DC100Vを印加しても全然光らない。

120Vあたりからフィラメントが灯り出した(下左図)。140Vで正常発光(下右図)。

ちなみに、極性を逆にしても、全く同じ。ちゃんと光る。

 

なぜ100Vでは光らず140Vで光だすの?なぜ極性に関係ないの?

それは、電球内のインバータ回路を考えれば容易に理解できます。

電球内のインバータ回路の構成を超簡単に書くと、こんな感じになっていると思います。

電球型蛍光灯ブロック図

電灯線の交流電圧をダイオードブリッジで全波整流しコンデンサで平滑して、一旦直流電圧を作っています。そしてその直流電源を用いてインバーターにより数10K~数100KHz程度の交流電圧を生成しトランスで昇圧マッチングさせ蛍光管に印加して発光させています。ここで、電灯線(家庭のコンセント)の電圧100Vというのは実効値なので上記の整流平滑後の直流電圧は141Vとなります。よって、外部から直流電圧を与えて点灯させる場合は141V必要になるのです。また、もちろん、入り口で全波整流されているので、入力の極性はどうでもよくなります。

 

何らかのご参考にならばとても幸せです。

投稿:2012/3/15

 

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