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手品の謎に迫る!

超シンプルだけど不思議な手品


テンヨーの商品の箱のマークをいくつか集めるともれなくもらえるプレゼント品うちの1つ。
たぶん、すごく古典的な手品だと思うけど、とてもシンプルで分かり易い。で、結構、不思議なのです。

名刺ほどの大きさの2枚のカードで、その2枚は同じ大きさで、同じ絵柄が印刷されている。
ただし、そのうち1枚は4ピースに切断されている(左のカード)
もう1枚は、切れ目も何もないただのカード(リファレンスカード)(右のカード)

同じ大きさであることは、重ねてみると分かる。


2枚とも裏替えすと、色違いの同様の絵柄が印刷されている。
切断されている方のカードを絵柄に合わせて組合すと、中央に長方形の穴ができてしまった。


それに、リファレンスカードを重ねると、やはり、ちゃんと重なる。
あらら?ということは中央の穴の面積はどこにいったの??と言う不思議な手品。

4つのピースをどう組み合わせても、もちろん面積は変わらないはず。
切れ目のないカード(レファレンスカード)を裏返しても、もちろん面積は変わらないはず。
どこのもタネが見当たりません。では、どうして?


タネ明かしに挑戦

そのタネ明かしに、今回は、少し特殊な測定器を使ってみることにしました。

これは、不定形の面積を精度良く測定する装置(エリアカーブメータ・ ウシカタ製X-PLAN360)
何故か、友人が、手土産の1つとして持って来たもの。

これで、各パーツの面積を測定してみると・・


バラバラの4つのピースの面積をそれぞれ測り、合計すると、もちろんですが、
青色絵柄の面にして組み立てた長方形の面積に等しい。
次に、裏返しにして、赤色絵柄に合わせて組み立てた(中央に穴があいた)長方形の面積を
測定すると、青色絵柄の面にして組み立てた長方形の面積よりも、240平方mm大きい。
これは、もちろん中央の穴の面積に等しい。
次に、もう1枚のリファレンスカードの面積を測ると、青色絵柄を上にして組み立てた長方形の面積と、
赤色絵柄を上にして組み立てた穴あき長方形の面積との、ちょうど中間程度の面積となっている。

つまり、タネとしては、240平方mmがどこかに消えたのではなく、リファレンスカードと重ね合わせた時
には、その差異分の面積は周囲に拡散されていて、人間はそれを感じ難く、逆に、中央部に、その
面積が、まとまった形となると、極めて感じ易いという性質を利用した手品なのです。
もっと、簡単いうと、分散しているものは感じ難いが、まとまっているものは感じ易いという人間の特性
をうまく利用した手品な訳です。

ここで、子供もに感じて欲しいことは、定量的に物事を考えることの重要性です。
いくら定性的に考えても分からない事象も、定量的に解析すれば見えてくる世界もあるということ。
また、定量的に表現できて、かつ再現性があって、初めて工学(科学)なのだと思います。

定性的表現しかされておらず、かつ再現性も確認できないのなら、それは、工学や科学ではなく、
神秘学とかオカルトとか宗教とかの領域と言えるのではないでしょうか。

補足

今回は、たまたまあった特殊な測定器を利用しましたが、そんなのが無くても、ノギスとか精密定規
でも、十分に実験できます。

投稿:2007/6/14
改訂:2011/11/4

 

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