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ちょっと勉強メモ書き・光る棒の原理

先日、ダイソーで「光る棒」なるものを購入しました。別名を光るスティック、ケミカルライト、サイリュームなどと呼ばれているものです。よくコンサート会場で観客が嬉しそうに振り回しているあれです。で、その「光る棒」が予想以上に明るく綺麗に、しかも安定に長時間光るので、その発光メカニズム(光る仕組み)に興味を持ち、ちょっと勉強しましたので、まとめておきます。

   

これらの品物は、棒(ステック)を曲げた時に、2種類の液体が混ざり合い、その化学反応により発光するのです。
化学発光と呼ばれる現象です。


光ることの根本的なメカニズムについて簡単に説明

物質をミクロ的に見ると、原子核の周りに複数個の電子を配している構造をしています。
その電子の状態つまり居場所(電子軌道)は、いくつかあり、最も落ち着く安定した居場所(最もポテンシャルエネルギーの低い場所)を基底状態と言います。

もし、外からエネルギーが与えられると、そのエネルギーにより一時的に、電子は興奮し、別の落ち着かない高い居場所(高いポテンシャルエネルギーの場所)に移ってしまうことがあります。この状態を励起状態と言います。

しかし、やはり電子にとってはこの居場所(励起状態)は居心地が悪く、元の落ち着ける居場所(基底状態)に戻ろうとします。この戻る際に、余分なエネルギー(つまり励起状態と基底状態のポテンシャルエネルギーの差分)を外部に放出します。この放出エネルギーの1つのスタイルが光なのです。これが蛍光と呼ばれている光です。





光り続けるためには

上で述べたように、励起状態から基底状態に戻る際の一瞬に光を出す訳ですから、連続して光り続けるためには、すぐに基底状態に戻ってしまう電子に次々とエネルギーを与えて、繰り返し繰り返し励起状態に持ち上げ直さなければなりません。つまり、連続してエネルギーを与え続ける必要があります。



具体的に光る棒(光るスティク)はどういう仕組みなのでしょうか?

光る棒は2重構造になっています。外側のプラスチック容器の内側に薄いガラス容器があり、そのガラス容器を割ることにより、ガラス容器内の液体とプラスチック容器内の液体が混ざり合い光化学反応が起こるのです。



プラスチック容器内の液体(つまりガラス容器の外側の液体)はシュウ酸エステル溶液と蛍光物質の混合液です。
ガラス容器の内側の液体は過酸化水素水(いわゆるオキシドールというやつですね)と触媒(化学反応促進のため)との混合溶液です。この2種類の溶液が反応して発光する訳です。この反応は過シュウ酸エステル化学発光と呼ばれています。



シュウ酸エステルは、過酸化水素水と反応し高エネルギーで安定な活性中間体(ジオキセタンジオン)を生成します。この活性中間体が蛍光物質を活性化する(つまり励起状態に引き上げ)ことにより、長時間の安定な発光を可能としているのです。

もっと簡単に表現しますと、比較的安定な酸化反応で発生するエネルギーを活性中間体を介して別反応系である蛍光物質に与えることにより連続した発光を可能としています。これはエネルギー供給物質と蛍光(発光)物質が異なっていると言うことであり、これにより蛍光物質のみを変えることで、色々な色のバリエーションを持たせることができます。

<参考>蛍光物質と発光色
ペリレン:青色
ローダミンB:赤色
エオシンY:オレンジ色
(蛍光溶液そのものの色と発光時の色が異なる場合があるようです)



誰がいつ頃発明したのか?

アメリカのアポロ計画がなされた1960年代に、電気火花や熱の出ない安全な光が研究され、その中で、Cyanamid社の開発したCyalume(サイリューム)が実用商品の始まりとされているようです。




<勉強ネタ元や参考リンク>
先端科学をのぞいてみよう光化学
ヒカリ工房のヒカリの素
化学発光(金曜班)
化学発光 - Wikipedia(未だ書き掛け途中のようです)
日本オムニグロー株式会社



おまけ・コーヒーブレイクに!

YouTubeでみつけた化学発光の豪快?な実験の動画です。
ご家庭では、やらない方がいいかも知れません。



<サイト内関連リンク>
非電化照明器具
光る棒(光るステック)でムーディなひと時を


補足:「ちょっと勉強メモ書き」シリーズについて

この「ちょっと勉強メモ書き」シリーズは、あくまでも自分の勉強メモです。内容も学術的正確さよりも概念的分かり易さを重視しています。予めご了承ください。中学生の方にも理解できるように心がけるつもりです。

投稿:2007/3/7
修正(誤記訂正):2007/8/22

 

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