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柔らかスピーカーボックスという発想
そもそも何んでスピーカーボックスが必要なの?
そもそも何んでボックス(エンクロージャー)が必要なのかを極めて簡単に言うと、スピーカーユニットの後ろ側から出る音(この音は前から出る音と逆位相の関係ないあります)が前から出る音と干渉して打ち消し合うのを防ぐためです。それだけです。この打ち消し作用は波長の長い程つまり音程が低い程顕著となります。だからスピーカーユニットを箱なしで鳴らすと低音が殆ど聞こえません。
柔らかスピーカーボックスの発想
通常のスピーカーボックス(エンクロージャー)は木材やプラスチックや金属などの固い材料でできています。でも、上に書きましたように、後ろから出る音と前から出る音とを干渉させなければいいのですから、ボックスが固い材料でである確固たる必要性はありません。で、ホームセンターで見つけた防振ゴム材で非常に簡単なボックスを作って試聴してみました。
材料は手持ちのパイオニア製フルレンジスピカーユニットと防振ゴム材(厚さ13mm)だけです
防振ゴム材を巻いただけのエンクロージャー。背面は開放のまま。
上向き(縦置き)で試聴(背面は塞がる)
正面向きで試聴(背面オープン)
試聴結果
意外にもいい音でした。少なくともこのスピーカーユニットが入っていたプラスチック製のボックスよりも遥かに素直な音です。中域の変な汚れがなくなりました。もちろん低音は殆ど出ませんが、適当なサブウーファーと組み合わせて整合をとれば、そこそこいい感じになるかも知れません。
補足
スピーカーボックスから出る高調波(本来の音ではないスピーカーボックスが振動することによって発生する音)が予想以上にスピーカーユニットから出る本来の音に影響を与えているのかも知れません。だから可能な限りボックスの振動を抑えることが必要となり、一般的には頑強なキャビネットが最も有効であると考えられています。でも別に頑強な剛体じゃなくても、このような柔軟でプヨプヨな材料でも工夫次第では実用できるかも知れません。
蛇足
あえて筐体を振動させて、いわゆる箱鳴りを利用して豊かな音を出そうと音作りをしているスピーカーも色々ありますが、所詮、心地良い高調波を付加して色付けしているだけに過ぎず、例えばピアノ専用とかバイオリン専用とか特定の音色に特化したスピーカーなら可能でしょうけど、汎用的用途でのスピーカーとしてはやはり無理があるように思います。
投稿:2013/11/20