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レトロな電気アンカを分解

昔からある電気アンカを分解するのだ。
だいたい中身の予想はつくが、童心に帰って新鮮な気持ちで分解するのだ。


昔からよくある電気アンカ。
今でも売られているよ。



外側の布カバーを取り除くと
板金(スチール製)筐体が現れる。
この方がスポルトな感じでかっこ良かったりして・・


ネジをはずすと簡単に分解できる。
これが中身だ。すごいシンプル、殆どが空洞。
発熱部と温度調整部と温度ヒューズ、それと
大部分の空洞から成る。



雲母板にサンドイッチされ発熱部
この中にニクロム線が巻かれた雲母板がある。



温度調節部。
いわゆるサーモスタットだ。
バイメタルを用いたオンオフ制御。

銅板電極の間に見える銀色の金属がバイメタル。
バイメタルとは熱膨張率の異なる2種の金属を張り合わせた板で、温度によりタワむ性質を利用している。

つまみ(温度調整つまみ)の取り付いたネジで一方の電極を押さえつけることにより、そのネジの回し加減、つまり一方の電極位置を微妙に変えることにより設置温度の変更を可能としている。


最終安全装置である温度ヒューズ(115℃)もちゃんとついているよ。電気接続的には発熱部(電熱線)とサーモスタットとこの温度ヒューズとが直列接続されている。

サーモスタットが壊れ温度制御不能となり異常温度まで過熱した場合に、この温度ヒューズが溶断し、発熱を停止させるのだ。シンプルだけど強力な安全装置なのだ。



マイコン制御どころか簡単な電子制御すらなく、極めて古風なバイメタルによるオンオフ制御だ。
最新テクノロジーとは乖離したウルトラレトロな製品なわけだ。

でも、これはこれで極めて完成度の高い製品のように思える。
それは極めてシンプルで(部品点数が少なく)、無駄の無い設計で、とても安価であることだ。

一見無駄に思える空洞も、実は合理的な空洞なのだ。例えば、この空洞を無くし薄型構造として、発熱体を薄型筐体に直接設置したらどうだろう?たぶん使い物にならないだろう。通電すると直ぐに温まるのは良いが、一部分のみが熱く、全体として同一温度にするのが難しい。それに、オンオフ制御の荒が出てしまい(オンの時とオフの時との温度差が激しくなり)この製品のように全体をほんのり温かくするのは不可能だろう。
つまり、この無駄そうに見える空洞(閉じた空気層)の熱抵抗や熱容量も製品特性を演出している重要なファクターと言える。

こんなウルトラレトロな製品でも、今もなお現役なのは、それはそれなりの理由があるのだと思う。


<関連参考リンク>
バイメタル - Wikipedia


投稿:2008/11/13

 

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