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アンティークな測定器分解写真

今は使わなくなったけど、ずいぶんお世話になった測定器たちの分解写真です。



テクトロニクスのデジタルオシロスコープ(Tektronix TDS714)

 

昔、仕事の都合で購入したテクトロニクスのカラー画面の4chデジタルオシロスコープ。

使い勝手はとてもいいのだが、デカイのとファンの風音がうるさいが難点。

中身はこんな感じ。

上側基板はデジタル処理部。今時のデジタルオシロなら、ほんの数個のLSIでこと足りるのだろう。たぶん。

下側基板はアナログ処理とAD変換部。

入力初段のATT&ヘッドアンプ部はシールドボックスに密閉されている。

 

TDS700シリーズのカラーモニターが面白い

このテクトロのTDS700シリーズのちょっと面白い所は、カラー画面なのにモノクロのCRTを用いているところだ。

で、その部分に興味が出たので、モニター部分を外部に引っ張りだして無理やり動作させて調べた。

やっぱりCRTはモノクロだった。そして、その前面にカラー表示にする仕組みがある。

(上写真のようにモニター前面から怪しげにカラフルなフラットケーブルが出ている)

モニター前面にあるのはカラー液晶パネル(液晶カラーフィルター)のようで、CRTと同期させることによりカラー表示を実現している。ただ、この液晶は一般的なカラー液晶パネルとは異なり、それ自身には画像を表示する機能はない(画素がない)。つまり、ただベタ面のカラー液晶パネルなのだ。そのベタ液晶のRGB切替えをCRTのフレームレート(垂直偏向タイミング)に同期させることにより8色(2の3乗)のうち好きな色を表現している。この方式では画素の表示タイミング(輝度信号)に液晶パネルを同期させる必要はなく、たんに、遥かにのんびりとした垂直偏向タイミングに同期させればいいので余裕で液晶パネルの色を切り替えればいい訳だ。

今考えると、バカバカしい方式のように感じるが、当時は、今のように高精度な液晶パネルがなく、また高精度カラーCRTはどうしても奥行きが長いので、苦心の策として、こんなCRTと液晶のコラボレーションモニターを作り出したのだと思う。たぶん。でも、そのお陰で、独特の雰囲気のカラー画面を実現している。

 


TRIO AUDIO GENERATER(低周波発振器)TRIO AG-202A


学生時代から愛用していたトリオ(現KENWOODかな?)の低周波発振器。
デザインも優れ、非常に使いやすく、20Hz〜200KHzの正弦波と矩形波を出力できる。
当時、オーディオアンプの製作や測定には欠かせないものだった。
今は、VSAや多機能ファクションジェネレータがあるので、まったく使わなくなった。
TRIO AG-202ATRIO AG-202A 裏面

中身はこんな感じ。
一枚基板構成。ICは全く使わずディスクリート部品によるウイーンブリッジ発振(CR発振)回路。
TRIO AG-202A 分解写真
時代を感じる茶色い基板。
フライホイールが周波数ダイアルのいい感じの回し心地を実現している。
次に、大きなボックスを開ける。
TRIO AG-202A バリコンTRIO AG-202A バリコン
ボックスの中身はバリコン(可変容量コンデンサー)だ。
ダイアルを回しCを変えることによりCR発振回路の周波数を可変している。
数百pFの容量で、20Hzという低い周波数を発生させるには、Rはすごい高抵抗(数十MΩ)になる。
ちょっと無理な設計のように思が、まあ、大量生産の民生品ではなく特殊な測定器だから、これでいいのだろう。




LEADER AC MILLIVOLTMETER LMV-185A


リーダ電子のミリボルトメータ。ミリバルとか、もっともっと大昔はバルボルと言われていた分類の測定器。
簡単に言うと、アンプ内蔵の交流専用電圧計だ。
このLMV-185Aは5Hz〜500KHz帯域で1mV〜300VFSのレンジを有し、オーディオアンプの利得や周波数特性測定やノイズレベル測定とかに欠かせないものだった。特に、これ、2チャンネルあるので、入出力電圧を同時に見れるので凄く便利だった。今では、VSAやデジタルオシロのメジャー機能やDMMで十分事は足りるで全く使わなくなってしまった。

LMV-185ALMV-185A 背面
裏面に、増幅後の出力が取り出せる端子があり、実験用アッテネータ付きアンプとしても重宝した。


中身はこんな懐かしいアナログな感じ。ゲイン調整も簡単で自分で校正できるのも利点だった。
LMV-185A 分解写真


底面はアッテネータ部。このメカニカルな感じもまたいい。




IWATSU SYNCHROSCOPE SS-5705


岩通のシンクロスコープSS-5705で、いわゆるアナログ式オシロ(オシロスコープ)だ。上位グレードではなく普及機の部類だが、本当にいいオシロだと思う。価格帯にしては温度ドリフトも小さいし、画面は明るいし、当時としてはコンパクトだし、とにかく使いやすい。僕的には隠れた名機だと思っている。

テクトロのデジタルオシロを購入した際には、処分しようとも考えたが、実は、今でも現役の測定器。
なぜ、今でも手放さないかというと、学生時代にローンで購入して愛着があるというのも1つの理由だが、大きな理由は、アナログオシロにはデジタルオシロには無い良さがあるからだ。それは、測定信号の状態が全く不明な場合、アナログオシロの方が、信号の状態を素早く把握しやすい。それと、あたりまえだけど、エリアジングによる嘘表示もないし、正真正銘のリアルタイム、リアルレスポンスだ。

岩通  SS-5705


中身はこんな感じ。中央にブラウン管。
一般的なブラウン管とは異なり、偏向コイルが無い。
それは磁界で偏向するのではなく電界で偏向するタイプのブラウン管だからだ。



両サイドと裏面には基板がぎっしり。


このオシロには、全回路図と詳細なメンテナンス(校正)書も付属している。しかも、専用ICは使用しておらず、部品は全て一般部品で構成されている。だから、定期校正も修理も自分で出来る。これも、この機種を手放さない理由の1つだ。


ちなみに。今時のデジタル測定器は専用ICで固められていて、メンテナンス(校正)も修理も殆ど不可能だ。
だから、メーカーに定期校正を依頼するしかないのだが、この費用が、予想以上に高い。

 

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