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電気の基礎の基礎・電流の元

電流の元

 

例えば電気を通す金属の代表である銅の原子を考えます。

上記図の一部は日本財団図書館から引用しています。

 

解説

 

銅原子は29個の電子を持っています。いちばん内側のK殻に2個、次のL殻に8個、次のM殻に18個、そして銅原子としては最外殻であるN殻に1個の電子を持っています。

M殻までの合計28個の電子は各々電子軌道の安定数であるため、居心地が良く、その原子から離れることはありませんが、最外殻であるN殻の電子(つまり価電子)1個は原子との拘束性が小さく(つまり不安定で)すぐに飛び出そうとします。この飛び出た電子が電気を伝える(電流を流す)重要な働きをすることとなります。

 

自由電子と金属結合と電流の元

  • 金属を構成する金属原子は最外殻電子(価電子)を放出して自らは正電荷を帯びた原子となります。
  • 放出された電子は金属全体に拡散し自由に動き回る電子つまり自由電子となり原子が相互に結合する力を生じさせています。これが金属結合です。
  • この自由電子が全体として一定方向に移動することが電流の元となります。

 

ちょっと補足

  • 自由電子は陽イオン化した金属結晶の原子の間を自由に動き回り、その結合力はクーロン力つまり静電気力です。
  • 微視的に見ると金属原子から電子が放出され他の金属原子に吸収されることを繰り返していますが、巨視的に見ると放出された電子は自由に移動しているように見えます。
  • 自由電子は特定の原子の近傍には限定されず結晶全体に非局在的および非特定的に存在していると言う表現が最も正しいように思います。つまり、どの電子が今どこに存在するのかを特定することは原理的に不可能であり、それどころか、この電子とあの電子を区別したり特定したりすること自体が原理的に全く不可能なのです。
  • 金属は自由電子の振る舞いにより、熱伝導性、電気伝導性、光沢、粘性、延性の特徴的な性質を持ちます。

 

電流の元は、自由電子とその振る舞いにあるということです。次回は電流が流れるということについてです。

 

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