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電気の基礎の基礎・電流とは電子の移動

電流とは電子の移動

 

前回は電流の元は自由に動き回れる電子(自由電子)であることを述べたのですが、今回は「電流が流れる」とはいったいどういうことなのかを少しだけ詳しく述べます。

上記図の一部は中学理科の攻略☆りかちゃんのサブノートより引用しています。

 

解説

 

電圧を加えない場合(スイッチがOFFの場合)

金属中の自由電子は個別的に見ると熱エネルギーにより金属中を全く自由にランダムに動いています。しかしながら、電子を全体の流れとして捉えると静止しています(ベクトル的総和はゼロです)。つまり金属中の任意の閉鎖系を考えると、その系の外との電子の出入りは総合するとゼロです。

 

電圧を加えた場合(スイッチがONの場合)

マイナスの電荷を持った電子は、電圧を印加することによって生じる電界(電場)により力を受け、プラス側の方向に移動しようとします。電界による影響は電界が存在する領域の電子全てに及ぼされるので、金属中の自由電子が全体として移動します。これが電流です。

 

電流とは電子の移動をマクロ的に観察したもの

つまるところ電流とは電子の移動を巨視的に観察したものです。

 

電子の移動方向と電流の向き

電流の向きと電子の流れる方向は逆です。

これはなぜかと言うと・・・オームの法則等により電圧や電流の概念が構築された時代は、未だ電子の存在が知られていませんでした。 電流はプラスの電気をおびた何らかの流れだと考えられていたのです。 それから半世紀以上後の1897年に、トムソンは放電の研究中に、放電がマイナスの電気を帯びた粒子の流れであることを見出しました。これが電子の発見です。よって先に決められた電流の向きと後に発見されたマイナスの電荷を持った電子の流れとは逆になってしまったのです。で、今更電流の向きを変更することも出来ずそのままになったのです。

 

 

補足や蛇足など

 

なぜ離散的な値にならないのか?

量子力学によると原子核の周りを回っている(実際は確率的に存在する)電子のエネルギーは離散値(とびとびの値)をとります。ということは最外殻電子の出入りによる自由電子の動き、つまり電流は離散的な値を示すように思えますが、実際には、電流は連続的な値をとります。なぜでしょう?それは金属(結晶)は少なくともアボガドロ数(6.02×10の23乗個)つまり6×1兆×1千億個の膨大な原子数の結合であり、電子が取りうる軌道は原子数の組み合わせ数だけ存在することから、金属結晶中の電子のエネルギー値は事実上無限で、連続的なエネルギーを持つとみなせます。

 

電流は実存しないの?

『電流とは電子の移動をマクロ的に観察したもの』と言うことは、電流の実態は電子の移動であり、電流とは、それのひとつの観測形態、つまり便宜上の仮想的なものなのでしょうか?確かに、そのように説明されている文献や教科書もあるようです。でも、電流は実存たる実態であると説明することも出来るようです。この辺は、量子力学やら電磁気学が絡んでくる領域なのでちょっとややこしそうです。また別の機会にまとめようと思います。

 

次回は電流の速さについてです。

 

 

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