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電灯線(AC100V)で高輝度LEDを駆動する簡単回路

多くの場合、LED(発光ダイオード)はDC電源で光らせます

通常、LED(発光ダイオード)は電子機器にて用いられますので、LEDの駆動にはその電子回路の電源(数V〜十数V程度のDC電圧)を使えば良いので、数百Ω程度の電流制限抵抗(または電流駆動回路など)の付加で簡単にLEDを駆動出来ます。


電灯線(AC100V)を用いてLEDを光らせたい場合

しかし、都合のいいDC電源がない場合(高輝度LEDを用いた簡単なイルミネーションなどの場合)は、電灯線(AC100V)で、なんとかしてLEDを駆動させたくなります。

左図のようにLEDを駆動させる電源(ACアダプター、スッチング電源など)を用意するのも1つの手ですが、LEDごときには大げさです。もし、 余りモノのACアダプターなどがあるのなら話は別ですが・・



これは電灯線でLEDを駆動する最も簡単な回路構成です。
とてもシンプルな回路ですが残念ながら、実用性は低いです。
なぜなら抵抗Rでの熱損失(発熱)が無茶大きいからです。

例えば、LEDに12mAの電流(実効値)を流す場合、抵抗Rでの熱損失は1.2W程度となり、これはLEDでの消費電力より遥かに大きな電力が無駄に抵抗で消費されてエコロジーに反します。そして、大きなサイズの抵抗器が必要となってしまいます。


そこで

上図の抵抗Rの変わりに下図のようにコンデンサC1を用いるのです。つまり抵抗(レジスタンス)で電流を制限するのではなく、コンデンサのリアクタンスで電流を制限するのです。この場合、電流と電圧の位相がずれているので、損失する電力(熱損失)を大幅に低減することが可能です。

例えば、上図のようにC1=0.33uFとすると、電灯線周波数60Hz(関西地区)に対しはC1は1/2π・f・C≒8KΩの抵抗として作用し、LEDに流れる電流値(実効値)は約12mAに制限されます。ちなみに、R1はイニシャル電流(突入電流)の制限とコンデンサ特性バラツキを吸収するための抵抗で200Ω程度は入れておいた方がいいです。R2はC1に蓄積した不要電荷のディスチャージ用で無くても機能的には問題ありませんが100〜500KΩ程度つけておいた方が無難です。また、D1は半波整流用ダイオード(LEDの逆方向電圧保護)で、これが無いとLEDは通電と同時に破損してしまいます。


上図の回路は、半波整流点灯なので、関西地区では1秒回に60回(関東地区では50回)点滅しています。よって少しチラツキ間がります。それを照明演出効果の1つと考えれば問題ないのですが、下図の回路構成のようにダイオードブリッジによる全波整流とすれば関西地区では1秒回に120回(関東地区では100回)点滅となり、チラツキ感がかなり低減されます。


これが試作実験回路(半波整流タイプ)です。


点灯させてみました。



補足

今回のキーパーツはコンデンサです。ESR(等価直列抵抗)が十分に小さく、温度特性がある程度よいコンデンサが必要です。それと、十分な耐圧(200V以上)が必要です。バッタ品はNGです。高誘電率の誘電体を用いたセラミックコンデンサには非常に温特が悪いものがあるので不適です。もちろん極性のあるコンデンサは使えません。ちゃんとしたフィルムコンデンサが良いです。


たくさんのLEDをまとめて光らせるのも簡単

下図のように、複数個の高輝度LEDを用いたLED照明(イルミネーション)も簡単にできます。



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趣味の照明器具工作の参考にでもなれば幸いです。
投稿:2007/7/5

 

追記

今流行の40Wタイプとか60Wタイプとかの電球型LEDもこのような回路ですか?というご質問を頂きましたが、それらは全然異なります。この回路方式が使えるのはせいぜい1W程度までです。電球型LEDの多くは電流フィードバック型のスッチング電源回路方式を用いています。動作が安定していて効率が良く小型化が容易だからです。
追記:2014/9/23

 

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