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「ありがとう」と「バカヤロー」と「電池」の実験
「ありがとう」ご飯の姉妹実験
以前行なった「ありがとう」と「バカヤロー」と「ご飯」の実験
の姉妹実験なのだ。と言うか、ふと思いついたのでやってみた。
「ご飯」の実験では、どうしても、その検証方法が、味がどうの、匂いがどうの、腐るの、腐らないの・・と定性的で曖昧だ。そこで、最も簡単に定量的に評価可能な電池に着目してみた。
「ありがとう」の神秘のパワーで、はたして、電池は長持ちするの?!を検証する。
しかし、まあ、なんとも胡散臭さ満点の実験だ。
被実験体はダイソーの単三アルカリ乾電池
まずは、初期状態での4個全ての電池の起電圧(無負荷時の端子電圧)を測定しておく。
そして、「ありがとう」と「バカヤロー」と書いた紙を各々2個づつ貼り付ける。
文字は裏側ににも同じように書いてある(つまり1つの電池に2箇所)
「ありがとう」パワーを電池に浸透?させるため、このままの状態で3日ほど寝かせる(放置しておおく)。
そして3日後。
再び電池の起電圧(無負荷時の端子電圧)を測定し、その後、
全ての電池に全く同じ負荷を与えて電池の消耗具合(電圧の減少)をリアルタイムで記録する。
手持ちの電池ホルダーが無いので、端子線(直径1mmの銅単線)を電池電極にハンダ付けする。
電池に熱的なダメージを与えないよう大容量ハンダゴテで短時間でハンダ付けする。
(熱容量の小さなハンダゴテでは、逆に、時間が掛かり、電池にダメージを与える)
電池の起電圧(無負荷時の端子電圧)を測定し、電池に影響が無いかを確認する。
全ての電池に8Ω(16Ω2個を並列)の抵抗器(誤差1%の金属皮膜抵抗)を接続し、負荷電流(電池電圧1.5V時に約188mA)を流し電圧を記録していく。
電圧記録はHIOKI8853メモリーハイコーダを用いる。
完全にアイソレーションされた4chのアナログ入力を持っていることが、この測定器の特徴だ。
それによりGNDを完全分離することが可能となり、理解不能な「ありがとう」のポジティブパワーと「バカヤロー」のネガティブパワーがGND線を通じて相殺されてしまう心配をしなくてすむ。いやいや、そんな非科学的な影響を心配すること自体が、そもそも非科学的なのかも知れないが・・
実験結果
サンプル番号と記載文字は下記の通り。
1:ありがとう
2:バカヤロー
3:ありがとう
4:バカヤロー
8Ω(16Ω2個を並列)を接続し各電池の電圧をモニター開始。
電圧軸は0.2V/div、時間軸は2分/div
途中のノイズのような波形はチャネル確認のための信号で計測には無関係(無視してください)。
勾配が緩やかなので、測定開始約1時間経過後、時間軸を10分/divに変更。
永遠と、この単調なグラフは続く(記載省略)。
あまりにも単調で飽きてきたので、測定開始約12時間経後、全電池に負荷抵抗10Ωを追加。
(つまり合成抵抗約4.45Ωとなる)
すると、予想以上に各電池の電圧は急変したものの、「ありがとう」と書いたものと「バカヤロー」と書いたものとの差異は特に無く、たんに電池の個体差が現れただけと考えられる。
参考データ
サンプル番号 | ラベル記載文 | 初期起電圧 | ラベル貼付3日後の起電圧 | 実験終了後の電圧 |
1 | ありがとう | 1.630V | 1.630V | 76.43mV |
2 | バカヤロー | 1.630V | 1.630V | 75.06mV |
3 | ありがとう | 1.630V | 1.630V | 73.24mV |
4 | バカヤロー | 1.629V | 1.629V | 83.96mV |
補足実験
GP社製の単4電池やボタン電池(酸化銀電池LR44)でも同様の実験をやってみた。
LR44では、油性マジックで直接書いてみた。
結果、全て、上記と同様で、電池に記載した文字が電池の能力や特性に影響を与えることは無かった。
たんなる電池の個体差が表現されるだけだった。
結論と所感
電池に記載した文字が電池の能力や特性に影響を与えることは全く無い。
つまり「ありがとう」を書いたからといって電池が余計に頑張ったり、「バカヤロー」と書いたからといって電池がやる気を損ねたりすることは無い。当たり前といっていしまえば、全く悲しいほど当たり前の結論だ。
このようなオカルティな精神性が関与しているような事象や現象は、定量的実験は不向きなのかも知れない。あの一時、話題になった氷の結晶の話のように、定量的、解析的に見ようとすればする程、現象が見えなくなるのかも知れない。それって、結局、デタラメ?いや、どうも、そうとも言いきれない側面もちょっぴりはあるような気がする。
投稿:2010/7/26