大人の電子工作 <<

実験用アイソレーショントランスボックス

アイソレーショントランスボックスとは

電灯線(コンセント)のAC100Vを入れてAC100Vを出力する単なる1:1のトランス内蔵のボックス。
なんで、そんなもんが必要なのかと言うと、AC100Vを直接扱う電気回路実験を楽しく安全に行なうためです。
このアイソレーショントランスを介することにより、完全なフローティングのAC100V電源が実現できるし、また必要に応じて、片側を積極的にGNDに落とすことも可能となる。これにより、AC100V電源を直接扱う電子、電気回路実験の自由度が広がり、また各種測定も安全に気分よく行なえます。
詳しくは下記記事をご参照ください。
電灯線(AC100V)を扱う実験をお気楽にする工夫

また追加機能として、任意の電流制限を掛けれたり、電圧を調整できたりもできます。
実効値を表示するデジタル電圧計も搭載して使いやすくしました。


筐体がポイント

今回の工作のボク的なポイントは筐体にある。普通、電子工作の筐体は市販の汎用ケースを用いるが、今回はMDF材を用いてクールに安価に自作したのだ。出来上がりはこんな感じの外観。




主な構成部品と作製過程

主な構成部品はMDF材(ホームセンターのカットサービスで必要サイズに切断済み)とアルミ板とトランス、スイッチ、ターミナル、電源ユニット、電圧計ユニット(秋月)等である。


余ったMDF材で取り付けASSYを作製。
木ネジだと開け締めを繰り返したときの耐久性が乏しいのでボルト/ナットを用いる。
MDF材に6mm平ドリルでザグリを入れてナットをぐにゅと嵌めこむ。


MDF筐体は白色、パネルはグレー色のカラーラッカースプレーで塗装。
MDF材は吸水性が無茶大きいので、カラースプレーによってはなかなか着色しない。そんな時は気長に何度も少しずつ塗布と乾燥を繰り返すと綺麗に仕上がる。MDF材の塗装はニトロセルロース系よりアクリル系の塗料の方がいい(着色が容易な)ような気がする。

塗装したパネルに部品を取り付ける。


パネルをMDF筐体に取り付ける。
ネジとボンドで固定するので、後から取り外せるのは上蓋だけだ。



トランスや電源ユニット等を取り付けて配線。こんな感じ。




コネクション

配線図はこんな感じ。参考まで。

  • 基本的には2つの同じ電源用トランスで構成。
  • 100Vを1つのトランスで28V(別に何Vでもいい)に降圧し、もう1つのトランスで再び100Vまで昇圧する。
  • トランスの中間タップを利用して5段階の電圧可変が出来る。
  • 2つのトランスの中間点(低電圧部)に、任意の特性素子(抵抗や正特性サーミスタやフィラメント球)等を挿入することいより任意の電流制御特性を与えることが出来る。
  • 外部信号昇圧モードがある。(たんに2つ目の昇圧トランスのみを利用するモード)


出来上がりはこんな感じ

こんな感じに出来た。コンパクトだけど重量感がある。


工作実験室に設置。ハンダごて置き場にもなる。


超低歪みオシレータの正弦波信号をバイポーラ電源器で増幅し、そして本器の外部信号昇圧モードを用いて出力すると、超低歪みなAC100Vがえられる。もちろん周波数も自由に可変できる。
(ただしトランスの周波数特性に制限されるけど)

さらに、出力電圧(振幅)をモニタしてフィードバック(AGC回路を付加)すれば、低歪みで安定した実験用の交流電源を実現できる。
補足:バイポーラ電源器なんぞなくても余剰のオーディオパワーアンプで代用可。

なんかの参考にでもならば幸いです。
投稿:2010/6/15

 

Best Price by Amazon

このWEBサイトもサクラです。