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電波時計の改造・電波の届かない部屋でも電波時計を使うぞ計画

僕の部屋は電波時計の電波が届かない・・
そこで、やや強引な改造を施してでも、僕の部屋で電波時計を機能させるのだ!

僕の部屋の中では、どう頑張っても電波時計の電波を受信することが出来ない。今まで3機種ほどトライしたけど、どれもダメだった。もちろん電波を受信出来なくてもクオーツ液晶デジタル時計としては機能するので実用上の問題はない。でも、電波時計なのに電波を受信できなくて電波時計として機能しないと言う状況をどうしても僕は受け入れることが出来ない。電波をちゃんと受信した時に嬉しそうに表示されるアンテナのマーク(インジケータ)が表示されないのはどうにも寂しいのだ。そこで、やや強引な改造を施してでも、僕の部屋で電波時計を機能させる計画を実行するのだ。


電波時計の仕組みをちょっとだけ

●時間情報を持ったJJYと呼ばれる標準電波を時計に内蔵しているアンテナで受信して時刻等を自動修正する。
●標準電波送信局のセシウム原子時計にほぼ同期した精度を家庭用時計で実現できる。
●標準電波送には電離層の影響を受け難く時間遅延精度が高い長波帯の電波が使用されている。
●発振電波の周波数(キャリア周波数)は40KHzまたは60KHzであり、AM変調周波数は1KHzである。
●標準電波送信局は下記の2箇所により日本国内をカーバする。
 (1)福島県大鷹鳥谷山(おおたかどややま)の送信局、送信周波数は40kHz
 (2)佐賀県/福岡県羽金山(はがねやま)の送信局、送信周波数は60kHz
●標準電波送には時間(秒)同期信号だけでく、タイムコード情報(時、分、通算日、年(西暦下2桁)、曜日、うるう秒情報、時と分に対応するパリティ、予備ビット、停波予告情報)を含有する。

さらに詳細はこのページいちばん下の<参考情報サイト>参照ください。


これが今回改造のベースとなる電波時計

これが今回の改造のベースとなる近所のホームセンターで激安(780円)で購入したデジタル式(液晶式)目覚ましアラーム電波時計。シンプルなデザインで結構しっかりとした品。上のボタン(アラーム停止ボタンと併用)を押すと数秒間だけ液晶パネルが青色に光る。安物のバックライトにありがちな発光ムラ(光源の部分だけ明るい)が無く平面が一様に綺麗に青色に光る。お買い得の逸品だ。本当に良い買い物をした。

DIMPLE(マルマン) Radio Controlled Clock DRA362WW GH

中を開けると。

左写真の棒状のものがJJY標準電波を受信するバーアンテナ(フェライトコアのコイル)。
右写真の小さな基板がアンテナで受信したJJY標準電波を増幅検波しタイムコードを解読処理する電波時計受信(処理)基板である。時計本体の基板とは別基板(モジュール)となっている。



僕の部屋でも電波時計を電波時計として使うぞ計画

JJYの電波が届かない僕の部屋でも電波時計を使うには?・・
電波時計受信(処理)基板の感度を上げるという手段もあるだろうけど専門家が考え抜いたこの回路基板の性能をこれ以上に上げるのは難しいし、しかも専用ICで組まれていて事実上無理だろう。
そこで素人でも簡単に出来きて効果的な手法とは・・
そう。アンテナを拡張するのだ。
●まず試したのは、昔バーアンテナしかないAMラジオの感度を上げるためにやった方法で、バーアンテナにリード線を数回まき付ける。そしてそのリード線を延長する。すると、ラジオの受信感度がある程度は上がった。この方法を電波時計でもやってみた・・
液晶表示のアンテナのマーク(インジケータ)が上がった。やった!と思ったが、しばらくするとエラーで終わる。リード線をベランダに引き出しても同じ。やはりノイズだけ増えてインジケータ(受信強度表示)は上がるものの肝心のデータが受信されないようだ。

●次にバーアンテナをケースから取り外しリード線を1mほど延長してバーアンテナをベランダに出してみる。すると上手く受信できた。いけそう。でも、ベランダにアンテナを設置して、僕の机に時計本体を置くには、きちんと配線すると5mは必要。手持ちのインターフォン用コードでやってみたがNG。でもコード(線材)を適切に選べば出来そうな気配がむんむんしてきた。

●やはり、ねじった線(ツイスト線)がよさそうに思う。でも5mのツイスト線は持っていない。平行線を5mもねじるのも大変そうだし・・そこで、ふと思いついた。LANケーブル(10baseT)だ。たしか、ツイスト線だったはず。

今や、どこにでも売っているLANケーブル。ダイソーでも売っている。やっぱり中の線はツイスト(ねじれ)線。
で、やってみた。5mでも、みごとOK!。さらに7mに延長してもOK!やった〜!上手く行きそうだ。



改造を開始!

プラスチック製の筐体(裏側)にドリルで穴をあけ、ゴムブッシュを嵌め込む。
そして、LANケーブルを通す。ケーブルを引っ張っても基板に張力が掛からないようにする。


バーアンテナコイルにリード線(2本)をはずした基板上の端子(2極)にツイストコードを接続。コイルの極性は無い。ついでにLANケーブルの余り線でバックライトLEDを外部電源から点灯するように改造。ボタンを押した後の数秒間だけの点灯では寂しいので、外部電力供給でいつでも光っているように改造する。
ちなみに、写真のオレンジと白のツイスト線がアンテナ用、青と白のツイスト線がLED用。

LANケーブルが尻尾のように出た格好になる。バックライトLEDは外部電源で駆動させるが、時計機能は本来通り内部の電池(単四×2)で駆動させる。底面にはカメラの三脚を取り付けるため、のネジを切った樹脂板(右写真の黒い正方形の板)をボンドで固定しておく。




アンテナモジュールの製作

製作と言っても、時計本体から取り外したバーアンテナを屋外の風雨に耐えるよにケーシングするだけ。
左写真:バーアンテナにLANケーブルのツイスト線を接続(ハンダ付け)し耐水用ボンドでコーティング。
右写真:アンテナモジュールのケースとなるホワイトボード用マジックペン(ダイソーで購入)。


ホワイトボード用マジックペンの中身を取り出しケースとして使う。
そのままで格好悪いのと耐光性をアップと保護のため黒色アクリル塗装をする。



アンテナモジュール設置台の作製

アンテナモジュールをベランダに設置するための固定台を作製。
塩化ビニールを熱加工して手作り。台座は防水加工を施したMDF板を使用。




アンテナモジュールをベランダに設置

JJYの電波を安定して受信できる場所を十分に確認しアンテナモジュールを設置する。
幸い、換気ダクトが近くも受信良好だったので、換気ダクトからコードを屋外(ベランダ)に引き出した。




アンテナモジュールと時計本体とを中継接続

この中継コネクタ部からLED駆動用電源(ACアダプター)を接続する。この中継コネクタ部にLED電流制限用の抵抗器(LED最大電流の40%ぐらい流れるような抵抗値)を内蔵しておく。




ついに完成!

僕の部屋に時計本体を設置。
カメラ用小型三脚に取り付けると妙にいい感じだ。



ちゃんと電波を受信している。
僕の部屋のベランダは東向きなので福島県大鷹鳥谷山送信局(40KHz)の電波を受信している。
しかも、ず~と綺麗な青色のバックライトは光っている。

僕の部屋の時計がセシウム原子時計とほぼ同等の精度を得たのです。
これにて、念願の「電波の届かない僕の部屋でも電波時計を使うぞ!計画」は無事成功し終了。


要するに。
電波時計のバーアンテナのリード線をLANケーブル(ツイスト線)で延長してアンテナを本体とは別の電波受信に都合のいい場所に設置したら上手く行ったということ。で、ついでにバックライトを外部電源で光らせると電池の消耗も気にせずに、いつも光っていて嬉しい。


おまけ・屋外(ベランダ)設置のアンテナモジュールも光ってルンです

実は、アンテナモジュールにも青色LEDを仕込んでおいたのです。
だから、ベランダで、いつもアンテナが光っているんです。
誰も見ていないアンテナが光っていることの意味は全然ありません。
たんなる遊びごころなのです。



■ ご注意
ここに記載の内容は、あくまでも趣味レベルのものです。
また、電波時計(製品)によって処理回路が異なります。
必ずしも、ここで紹介したやり方で上手くいくとは限りません。


<サイト内関連リンク>
大人の分解遊戯・デジタル式電波時計の分解

<参考情報サイト>
JJY標準電波(電波時計)の運用状況
電波時計 - Wikipedia
電波時計とは?
電波時計受信用LSIの開発(PDFファイル)/三洋電気株式会社
 ・・電波時計受信回路のお勉強にとても良い資料。ありがたいありがたい。

投稿:2008/2/26

 

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