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磁石を使わないレールモータで遊ぶ
ボールベアリングモータの予備実験として始めた
針金(銅線)と磁石と電池だけで回るいわゆるシンプルモータは、一時期、その不思議さと簡単さからネットとかTVの科学番組などで話題になった。
ご興味ある方は:「シンプルモータ」でのgoogle検索結果
しかしながら、それらのシンプルモータは強力な希土類(ネオジウムなど)磁石を用いた普通のモータと同じ動作原理。フレミング左手の法則(つまりローレンツ力)で容易に説明がつく。
ところが、唯一動作原理の説明が困難なモータがある、それは「ボールベアリングモータ」と呼ばれるもので、磁石不要であり、ボールベアリングと軸棒のみで構成される極めてシンプルなモータだ。
僕はこのボールベアリングモータに大きな興味を持った。で、さっそく実験をやろうと思ったが、そんな都合いいベアリングやそれにぴったり合う軸棒などの手持ちが無い。そこで、とりえず、ベアリングの代わりに電極(レール)の上を金属棒がコロコロ転がる方式で実験してみたのだ。
実験を始めるのだ
ダイソーで購入した銅製針金をMDF板に2本平行にはり付け(これがレールとなる)て、鉄の棒を乗せるだけ。
とりあえずレールモータと名付けることにする。
そして、2本の銅線(レール)に電流を流す。
スイッチング方式の直流安定化電源装置を用いて30Aの定電流を流した。
すると火花を散らして動き出したが・・
いまいち再現性がない。
通電と同時に銅線が発熱し、そして膨張して撓(たわ)んで転がった可能性が高い。
いったん止まるとその場所で、すぐに融着したしまう。
そして煙は出てくるし、焦げ臭いし・・
火事になるのは避けたいので20秒程で実験終了。
とりあえずの実験ははっきり言って失敗。
補足実験
前回の実験ではレールに用いた銅線が発熱により膨張して撓んでしまったので、撓まない板状レールを用いる。で、今、あるモノで、その板状レールになるもの・・カッターの替刃を使うことにする。
こんな感じ。
おそらく、また発熱して長い時間の実験は無理なので、大き目の電流(45A程度)で短時間でかたをつける。
予めレールはKURE556で滑り易くしておく。
そして通電。
転がった。
指で戻しても、同じ方向にまた転がる。
いちおう再現性もあるようだ。
しかし2回ほど転がしただけで煙が出て来た。焦げ臭い。
そして壊れた。
レールはこげこげになってしまった。まだ熱い。
僅か30秒ほどで壊れたものの、補足実験はまあなんとか成功した。
でも・・
よく考えたら、コレ、動くのあたりまえ。
これも、永久磁石を使わないだけで、普通のモータと同じ動作原理。
固定極側の永久磁石が電磁石に置き替わっただけだった。
このモータの動作原理
このレールモータの動作原理を下図に示す。
上図のように、ころがり棒の左右で磁束密度がことなり力Fを発生する。
言い方をかえると、レールを流れる電流により作られる磁界(磁束)とそれに直行する転がり棒の中を移動する荷電粒子(電子)との外積方向に発生するローレンツ力が転がり棒を転がす力Fである。つまり普通のモーターと動作原理と同じだ。
要するに、今回行った実験は、「ボールベアリングモータ」の予備実験にはならなかったが、
もしかしたら、この世で最も効率が悪くて、最も寿命が短いモータの試作実験をしたのかも。
まあ、ともあれ、楽しかったからよしとしよう。
ボールベアリングモーターの実験はこちらに引越しました<摩訶不思議物研究室>
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投稿:2010/10/12
追記:2012/6/11