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くるくる回るスターリングエンジン
今回は、市販の組み立て実験キット・学研の大人の科学マガジンシリーズのスターリングエンジンで遊んでみました。
学研の大人の科学マガジンシリーズ・スターリングエンジン(バックナンバー)
スターリングエンジンは、今から200年近く前にスコットランドのロバートスターリングという牧師さんが考えだしたもので温度差による気体の膨張・収縮を利用して動く、とてもシンプルなエンジンで、原理はとても古いですが、未来のクリーンエンジンとして今なお注目されているらしいです。
スターリングエンジンは、その構造から大きく2タイプに分類できます。1つは2ピストン型スターリングエンジンと、もう1つはディスプレーサ型スターリングエンジンです。今回遊ぶ実験キットはディスプレーサ型スターリングエンジンです。
ディスプレーサ型スターリングエンジンの動作原理は下記サイトがとても分かり易いです。
http://www.bekkoame.ne.jp/~khirata/japanese/howwork.htm
スターリングエンジンの詳細や応用に関しては、このページ下の<スターリングエンジン関連の厳選リンク>をご参照ください。
箱の中身はこんなんです。
プラスチック製の円筒の上下をアルミ円板で蓋をし、その円筒の中をディスプレーサと呼ばれる
ピストンのようなもの(隙間のあるピストン?)が上下する仕組みです。円筒の中は、ディスプレーサ
以外は何もありません。空洞(空気のみ)です。
これがディスプレーサ(ピストン)です。
上側のアルミ円板に取り付けられているダイヤフラムです。
ディスプレーサと並んで、重要な働きをします。
説明書に従い組み立てると、30分程度で完成しました。
手のひらに置いただけで(つまり人間の体温で)動き出すと書いてありますが、残念ながら
いくら待てども回りませんでした。たぶん、ディスプレーサの傾き等の微調整がいるのかも知れません。
そこで、可能なだけ、上下のアルミ板に温度差を与えてやることにしました。
下には熱湯を入れたカップを、上にはドライアイスを。これで、上下温度差は100℃を越えているはず。
すると・・回る回る。くるくる回る。面白いほどくるくる回りました。子供も大喜びでした。
写真では、回っているのが分からないので、動画を貼り付けておきます。
とても地味な動画ですみません。
ちなみに、このキットの元モデルは下記のようです。
http://members.jcom.home.ne.jp/kobysh/stirling/rubLTD/rubLTD.html
こんな簡単な仕組みで、しかも、お湯の入ったカップの上に置くだけで、くるくる回るので、子供にもうけます。そして、熱が運動に変わるということを感覚的に理解できると思います。
そして、もう1つ重要なことは、ただ熱があれば(温度が高ければ)、運動に変わる(仕事ができる)というのではなく、温度差があるから運動に変換すること(エネルギーを取り出すこと)が出来るということ。例えば、このキットの上下の円板を同じ温度のお湯で温めても、回転しません。片方が熱くて、もう片方が冷たいというのがポイントなのです。これはとても重要なことです。このことは、実はスターリングエンジンに限ったことではなく、蒸気機関や自動車のエンジンなどでも同様なのです。外気温よりもボイラーの温度が高いから蒸気機関は働き、エンジン内部の温度が外気温より遥かに高いから自動車は力強く走ることが出来るのです。しつこく繰り返しますが、温度ではなく温度差が重要なのです。
<スターリングエンジン関連の厳選リンク>
スターリングエンジン専門家の平田宏一さんのスターリングエンジンホームページ
Stirling Engine Dictionary(もちろん日本語、内容盛り沢山)
WEB科学工作館・スターリングエンジン
スターリングテクノラリー公式サイト
バイオマスエネルギーを用いた実用スターリングエンジン
エンジンを通して学ぶ熱力学(高校生向け)(東大生産技術研究所著のPDF資料)
投稿:2007/6/14
一部変更:動画サーバをYouTubeに変更しました