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スイッチング電源回路における2つの動作モードに関する考察

はじめに

電子機器製品の小型化や高効率化などを背景にDC/DCコンバーター(スイッチング電源回路)は今後更に重要な回路アイテムとなる。ここでは特にコイル電流連続/断続モードに着目してのDC/DCコンバータ基本動作に関するメモ書き、そして、コイル電流の連続性が失われる(断続モードに切り替わる)臨界条件を導出しました。かなりマニア向けネタです。


DC/DCコンバータの動作モードが気になる理由

DC/DCコンバータにおけるコイル電流連続/断続モードでの動作の差異に関しては通常あまり意識する事無く、その設計が行われる場合が多い。これは正常動作時においては両動作モードの差異は電圧フィードバック制御により吸収され、通常はそれを意識する必要がないからである。しかしながら、両動作モードでのDC/DC回路内部における動作挙動は異なっており、特に発生するノイズ特性の差異(電流断続モードでの高周波数リンキングノイズ発生)や出力電圧式の差異(電流断続モードでは非線形関数となる)による制御安定性への影響等々をDC/DCコンバータ設計においては十分に認識しておく必要があると考える。


DC/DCコンバータの2つの動作モードとは

DC/DCコンバータ(スイッチング電源回路)では、コイルLに流れる電流が途切れなく連続的に流れているモード(状態)と、コイルLに流れる電流が0となる時間領域がある、つまり断続するモード(状態)の2つの動作モードが存在します。

以下、StepDown(降圧)DC/DCコンバータを例として、その動作を考える。








各動作モードの詳細を考察する












コイル電流連続モードと断続モードとの臨界条件を求める







検証実験




上で述べた理屈が正しいかどうかの検証実験を行なう。
<実験回路構成>

検証実験結果

2種類のコイルLでの実測結果。
(Lのみ変え、その他の条件は同じ)





以上結果より、上記理屈(23式)の検証が出来た。
めでたし、めでたし。





おまけ

コイル(インダクタンス)は変えず、出力電流、スイッチング周波数をパラメータとして実測してみた。





<参考資料>
(1)スィッチングコンバータの基礎(原田耕介、二宮保 他著 コロナ社)
(2)スイッチングレギュレータ(嶋村弘則著 産報出版)
(3)電子工学ポケットブック(電子工学ポケットブック編集委員会 オーム社)


<サイト内関連リンク>
DC/DCコンバータの根本基礎の理解(その1)降圧型コンバータ
DC/DCコンバータの根本基礎の理解(その2)昇圧型コンバータ
スイッチングFETでの電力損失(発熱量)の算出


もし何かのご参考にでもならば、とても幸せです。
最終投稿:2009/1/15



 

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