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スイッチングFETでの電力損失(発熱量)の算出

スイッチング駆動時におけるFETでの損失電力を求める概算式(実用式)はトラ技等の技術誌に掲載はあるが、
その根拠を知りたくて計算してみた。

下図のようにパルス駆動(周期的イッチング動作)しているMOSFETによるスイッチ回路を考える。
FETがOFFの期間(Toff)はドレイン電流Id=0 、ドレイン-ソース間電圧Vds=VB(電源電圧)となり
FETがONの期間(Ton)はドレイン電流Id=Im=VB/RL 、ドレイン-ソース間電圧VdsはFETのオン抵抗Ronによりドロップ電圧となる。また、ToffからTonには下図に示すようTsw期間を経て移行する。




なお、FETがOFFの期間(Toff)ではドレイン電流Id=0なのでFETでの損失電力=0となる。
よって、FETでの損失電力算出にあたり、FETがONの期間(Ton)とスイッチング遷移期間(Tsw)での損失電力のみを考察すればよい。


Tsw期間(スイッチング遷移期間)での損失電力を考える



t=0の時にFETのゲート電圧を印加し、FETのオン動作を開始する。
そして、t=Tswの時にFETが完全にオンになる(スイッチング遷移期間終了)する。
その遷移期間でのドレイン電流Idおよびドレイン-ソース間電圧Vdsは直線的に変化すると考える。
すると、スイッチング過渡期でのFETでの損失電力は、下のように結構簡単に記述できる。





Ton期間(FETがONの期間)での損失電力を考える

FETがONの期間での損失電力Ponは、単純にFETのオン抵抗によるジュール損失と考えればよい。
よって損失電力Ponは下式のようになる。




FETのトータルの損失(発熱)は






連続的にスイッチング動作しているときのFETの損失(発熱)を考える




スイッチングFETのヒートシンクの検討などの熱設計時のなんかの参考にでもなれば幸せです。


<サイト内関連リンク>
DC/DCコンバータの根本基礎の理解(その1)降圧型コンバータ
DC/DCコンバータの根本基礎の理解(その2)昇圧型コンバータ
DC/DCコンバータにおける2つの動作モードに関する考察


投稿:2009/1/21
誤記修正:2009/2/9

 

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